外国人在留・招聘総合コンサルティング事務所
法務省東京入国管理局届出済

申請取次行政書士  中 村 和 夫


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外国人が起業する場合は?



W.
外国人が起業した場合の在留資格


 たとえば、システム・エンジニアとしてソフト開発

会社に勤めていた外国人が独立して自分のソフト

開発会社を立ち上げたり、外国語講師として勤務

していた外国人が独立して通訳・翻訳会社を立ち

上げたり、或いは
エスニック料理のコックであった

外国人料理人が独立して、自分のレストランを

開店するといった、外国人が起業するような場合、

その外国人の在留資格を”経営・管理”に変更

しなければなりません。


 何億円も出資するような巨大な事業を始める

のであれば、その申請により許可を得ることは、

さほど難しいことではありません。

 しかし、ほとんどの事業は、投資総額数百万円

から、せいぜい1000万円程度の、いわゆる

ベンチャービジネスです。

 ですから、そのベンチャービジネスの安定性、

継続性を入管当局に立証する事は、簡単なこと

ではありません。


 新規事業の場合には、平成27年4月1日に施行

 された改正入管法により、在留期間4月という、

 起業し易い制度に改められました。

 しかしながら、更新時には、従来通り具体的な

 事業計画書を入管に必ず提出しなければなり

 ませんが、このようなベンチャービジネスでの

 安定性と継続性の立証は、銀行を相手にする

 つもりで作る必要があることには、基本的には

 変わりがありません。

 それは、不安定で継続性のない事業に対しては、

入管当局は、安易に”経営・管理”の在留資格を

与えないスタンスだからです。

 つまり、官庁として、不安定で継続性の無い事業

を認めてしまえば、その事業が、もし崩壊した場合、

社会に与える影響や損失が大きく、許可した入管の

責任を問われる事態が無いとはいいきれないから

です。このような判断が、入管当局にあると

考えられます。


 本当に不安定で継続性の無い事業の安定性と

継続性を立証することなどは、当然できる筈も

ありませんが、立証不足で安定性と継続性が

無いと入管当局に誤解されては、外国人ベンチャー

ビジネスマンにとってはこんな不幸な事は

ありません。

 そして、在留資格が不許可となってしまっては、

不幸な事などと言ってはおれない、ゆゆしき事態

となるのです。

 ですから、この申請手続もビジネスの一環と考え、

慎重に進めて行かなければ、その事業の根底を

揺るがす事態となりかねません。

  以上の要件の他に、以下の最低要件があります。




@2名以上を常勤雇用するか、


 或いは、500万円以上の


 投資をすること


 法務省令では2名以上を常勤雇用するとして

いますが、総額500万円以上の投資を行うことでも

構わないとされています。

 よく、資本金500万円の会社を作れば、

”経営・経営”の在留資格が貰えると思っている

外国人の方々がいますが、それは間違いです。

常勤雇用すれば、少なくとも年間400万円前後の

出費は必要です。ですから、事務所賃料と併せて、

概ね確かに500万円の投資になるからです。

なお、この常勤雇用するのは、日本人か、または

身分系在留資格の外国人(永住者、日本人の

配偶者等など)でなければなりません。

 就労系の外国人では2名の常勤雇用者があると

みなされませんから注意してください。




A 事務所を借りること


 原則として、自宅兼事務所という形での、事業所

の形態は認められていません。

 やむを得ず、自宅と事務所(或いは事業所)を

一緒にする場合には、自宅部分と事務所スペース

部分とが、きちんとした分離ができることが要件と

なっています。




B会社を設立した場合、


 実行支配権があること



 2名以上を常勤雇用する事は、事業の立ち上げ時

ではなかなか難しいので、500万円の投資を行う

ことになるケースがほとんどとなります。

 そこで、資本金が500万円の会社を作らなければ

ならないと思われますが、実質500万円の投資を

したことを立証する必要性から、個人事業でも

構わないのです。

 しかしながら、実際問題として、個人事業では

確定申告でもしない限り、500万円の投資を行った

事を証明する事は、極めて難しくなります。


 一方、会社を設立した場合ですと、資本金と

いう形で、はっきりと登記簿に投下資本額が

記載され、その投資を立証できることから、

会社を設立した方が得策といえます。


 また、会社の出資者が、その外国人1人のみ

で取締役もその外国人1名のみであれば、問題は

ないのです。

 しかし、たとえば、日本人、或いは、外国人の友人

達と共同で、会社を作るような場合、投資・経営を

申請する外国人は、少なくともその会社の出資割合

の51%以上を支配し、代表取締役、または実質

支配権のある役職に相当する地位に就任して

いなければなりません。


 以上のような@〜Bの要件は、最初に述べた

事業の安定性と継続性を立証するための最低限

の条件ですから、
事業の安定性と継続性を立証

することがあくまでも最大の基本要件
であることを、

呉々も間違わないよう、まずは事業に専念して

頂きたいと思います。


 日本人の方でも居るのですが、会社を作って

しまって、エネルギーを使い果たしてしまう方々が

多々いらっしゃいます。

 ですから、会社を作って、在留資格を申請する

ことでエネルギーを使い果たさず、会社を設立して、

”経営・管理”の在留資格が許可されてからが、

本当のビジネスの始まりであることを是非忘れ

ないで頂きたく思う次第です。



* 更に詳しい内容は、


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